横浜の自宅を朝5時にマイカーで出発し、国民宿舎さんべ荘に着いたのは翌日の7時半。極力高速道路は使わなかったとはいえ、26時間あまりもかけてよく走ってきたものだ。その代わり、天気は快晴に恵まれ、さい先の良い連休登山の幕開けとなった。
三瓶山は定の松から登る人が多いようだが、国民宿舎といえば駐車場や風呂もあるだろうから、そこから登ることにした。
【三瓶温泉登山口】
国民宿舎駐車場のすぐそば。この日ここから登る人は少なかった。多くは定の松から登っているようだ。
国民宿舎の先には交差点があり、横断歩道を渡るとその先が登山口となっている。階段を登り、左手に地蔵を見ながら山の中へ入っていく。10分ほどで大きめのあずま屋に突き当たる。以前は売店だったのだろうか。休憩するにも適さないあずま屋だ。孫三瓶山まで30分の指導標あたりからクマザサが生い茂る急坂となる。花の種類も多く、写真を撮りながら登っていると、草原のような場所に出て視界が開ける。
【孫三瓶山頂から】
孫三瓶の山頂に立つと三瓶山が一望できる。この後樹林帯はなく、直射日光をもろに浴びながら周遊する。
草原の奥が孫三瓶山のピークで、山頂を示す標識が立っている。360度見通しが良く、周囲に人もいないので、パノラマ写真を撮るには絶好のチャンスだ。孫三瓶山から見渡してわかったことは、この山がいくつものピークで構成されており外輪山のように周遊することができることである。外輪山の中には火口跡だろうか、室内池(むろのうちいけ)が緑色に輝いている。三瓶山は数万年前から噴火を繰り返し、最後に噴火したのは3500年前だそうだ。
外輪山を時計回りに歩くことにし、正面の子三瓶山へ向かう。眼下には孫三瓶山から下って子三瓶山を登る道がはっきりと見えている。ここからのコースは樹林帯ではなく、笹原のようになっていて見通しが良く気持ちがよさそうだ。ただし、紫外線をもろに浴びることになる。日焼け止めのクリームを忘れてきたことが悔やまれた。
孫三瓶山からの下りは急で滑りやすいので慎重に下る。下りきったところは四辻になっており、三瓶温泉30分、室の内池15分となっている。まっすぐ子三瓶山へ向かって登り返す。少し登って振り返ると、孫三瓶山の緑の山肌にくねくねと蛇行する登山道が見える。
孫三瓶の山頂部分もクマザサの草原となっている。道なりに歩き、三叉路を左に行くと孫三瓶の山頂(961m)に到達する。こちらは、子三瓶山以上に広い草原となっている。男三瓶山を望むと、定の松から登っている多くの登山者が豆粒のように見えた。
次に男三瓶山へ向かう。先ほどの三叉路へ戻り、左へ進む。開けた稜線をゆっくりと下りながら目の前に男三瓶山を見ながら歩く。登り返しもそれほど苦しくはなく、山頂部分の原に出る。原の一部は砂礫地となっているが、三瓶火山が最後に噴火したあたりで、植物の生育に耐えられない土壌だそうだ。
【男三瓶山頂】
三瓶山の主峰がこの男三瓶山頂。一等三角点や方位盤、三瓶山頂神社のほこらがある。展望台からは日本海が見える。大山隠岐国立公園に属するが、この日は春霞のため大山を望むことはできなかった。
階段を登って丘の上に出ると、男三瓶頂上(1126m)となる。三角点があり、よく見ると一等三角点である。奥に進むとテラス状の展望台がある。北の方が一望でき、かつては日本の”表”であった日本海や出雲ヶ見える。伝説によると、目の前の島根半島は新羅の国から引き寄せたという。弓なりにのびる砂浜が綱で、三瓶山が杭となってつなぎ止めているらしい。
山頂の丘を南東に少し下ると避難小屋がある。山頂は風が強かったが、避難小屋のあたりは風は弱くなっていたので、小屋の前のベンチで昼食休憩とした。
【女三瓶はアンテナ群】
女三瓶の山頂はアンテナ群に占領されている。山一帯は携帯の電波が良く入る。
女三瓶山は軽装のハイカーがやけに多い。スキー場のリフトがすぐ近くまで運んでくれるようで、気軽に訪れる人が多いようだ。アンテナ群の山頂には近づかずに周回を続けた。
左手にはスキー場が見えてくる。もちろんこの時期は雪は全くない。峠を通過し、その先にリフトの山頂駅ある。さらにその先に太平山展望園地(810m)のピークに出る。これで三瓶山の五つのピークをすべて踏んだことになる。ここからの眺望も素晴らしい。ベンチで少し休憩し、最初に登った孫三瓶山へ向かった。
孫三瓶までの道は左右に木々も増えてくるが、日光を遮るほどではなく、相変わらず直射日光を浴びながら歩く。ところどころでミツバツツジの鮮やかなピンク色の花が咲いている。孫三瓶山への最後の急坂を登り、山頂を通過。国民宿舎までは来た道を戻った。
【登山道の花】
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【タチツボスミレ】
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【ショウジョウバカマ】
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【キジムシロ】
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【オキナグサ】
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【シロバナヘビイチゴ】
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下山後は駐車場を利用させてもらった国民宿舎の風呂へ入った。料金は500円で手頃である。大して期待してもいなかったのだが、露天風呂など湯船がいくつもある本格的なものだった。しかも38度ではあるものの、露天風呂は源泉かけ流しであった。
風呂から上がると、実家の福岡を目指して車を走らせた。
温泉情報
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三瓶温泉(さんべ荘)★★★★
島根県大田氏三瓶町(TEL:0854-83-2011)
泉質:ナトリウム・塩化物泉
料金:500円
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