千葉県の山鋸山 |
朝七時に起きて山へ行こうとは思わない。山へ行くなら三時か遅くとも五時には起きて出かけるからである。この日はその七時に起きて、ぼんやりと休日の朝を過ごしていたものの、急に山へ行きたくなった。天気が良いというのがその理由で、変わりやすいこの時期の好天気は貴重である。どこへ行くか考え抜いたあげく、千葉県の鋸山へ行くことにした。
自宅を出発したのは、九時半。もはや街に買い物へ行く時間帯である。それでも横浜駅で京急に乗り換え、久里浜駅へ降り立った。駅前のバス停から久里浜港(東京湾フェリー乗り場)へ行くのだが、10数分時間があったので近くの松屋で豚丼を食べた。 京急久里浜駅前からのバスは、遠回りであるJR久里浜駅を経由して久里浜港へ向かった。さすが京急バス。効率を考えたらJR久里浜港を出てから京急久里浜駅へ行くべき所である。 久里浜港へは割と早く、歩いても良いくらいの時間で到着。すでにフェリーは乗船が始まっており、往復チケットを買ってすぐに乗り込んだ。船内ではまず鋸山のハイキングマップがないか探す。実は鋸山の地図は持ってきていない。観光地なので何とかなるだろうとの気持ちであった。そして案の定、船内の一画に観光パンフレッドコーナーがあり、アニメチックにデフォルメした鋸山ハイキングマップはあった。距離や方角が分かりにくいハイキングマップではあるが、無いよりはましだろう。 船内の座席は乗客の数の割りにやけに多く、どこでも座れた。うとうととしているうちに金谷港に到着。 【金谷港からの鋸山】 房総半島の西岸に切り立つ鋸山は、標高329m。鋸の歯のように見えることから鋸山と呼ばれている。撮影は帰りの船上から。 フェリーからは人や車がどっとはき出される。正面の国道127号沿いに歩いていくと、左手にJR金谷駅がある。駅の方に向かって歩き、駅の手前の四辻を右に入る。関東ふれあいの道の道標があり、「観月台・公園」方面に進む。金谷川に架かる橋を渡り、線路の下をくぐる。鋸山ハイキングコースと書かれた黄色の大きな看板が左の道を指しているので、その方へ進む。正面に石段と案内板が見えてくるので、迷わず石段を登る。 【石段の登り】 道が三つに分かれる。左が車力道コース、石段が観月台経由の関東ふれあいの道コース。 石段の上には展望台とアズマ屋がある。このあたりが観月台らしい。アズマ屋では外国人が広東語で話をしていた。奥に歩いていくと、石切場跡を示す道標の方へ進む。まむしに注意の看板があり、シャガの花の群落がある。 急坂を登っていると突然、関所が現れた。どうやら鋸山の上の方は日本寺の境内になっていて、入るには拝観料が必要となるようだ。仕方がないので600円を払って中に入った。入ってすぐ目の前には巨大な石の壁に彫られた百尺観音がそびえ立っている。 【百尺観音】 高さ30mの観音様。昭和41年5月に完成。バーミヤンの大仏を彷彿させると言いたいところだが..。 百尺観音のご尊顔から左に目を転じると、地獄のぞきの岩が見える。そこだけ飛び出た岩の先端まで人が入れるようになっている。垂直にそびえる石の壁に囲まれた場所から奥に進み、石山の上の方へ向かう。 【地獄のぞき】 展望台から地獄のぞきを望む。房総半島は緑が多く、見渡す限り森が広がっていることが分かる。 鋸山の山頂部分はロープウエイ組の入場者も多く、家族連れなどで賑わっている。反対側へ下りていき、石の大仏を見に行く。途中、千五百羅漢道を通る。 【石大仏】 高さ31m。昭和44年に復元されたもの。原型は1783年に大野甚五郎英令が門弟27名とともに3年かけて完成させたが、江戸時代には風蝕で荒廃していったそうだ。 帰りは再び、山頂に向かって登っていく。急な階段が続き、まわり観光客は皆苦労して登っているようだ。 西口管理所を経由すると山頂まで戻らなくても入ってきた北口管理所から出ることができた。帰りは鋸山崖下を400m歩く車力道を通って金谷港まで戻ることにした。車力道とは切り出した石を運び出した道ということなので、楽な道かと思ったが、そうでもなかった。 【石切場から見上げる】 垂直の壁が広がる。かつては山全体が一つの石だったのだろうか。石切場ではカエルが大合唱していた。鳴いているすぐそばまで行ってみたが、そのカエルの姿を認めることはできなかった。 石切場跡から洞窟や溜め池を通り、車道に出る。目の前を館山自動車道が走っている。左右どちらに行くべきか分からないが、館山自動車道をくぐるトンネルを通り、出てすぐ右に山道が続いていたのでそちらの方へ入った。山道は登りでやがて来たときの道と合流した。そして観月台を通って石段を下りた。本当は観月台を通らずに石段下の横の道に出てくるはずだったのだが、どこで間違えたのだろうか。 金谷港に着くと、出航10分前だった。往復でチケットを買っていたため、真っ直ぐに乗船。お土産屋を物色する余裕もなかった。 Camera:Panasonic DMC-FX9
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