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御嶽-長崎県の山

御嶽-長崎県の山

国境の島でヤマネコの森を歩く

国境の島でヤマネコの森を歩く

【御嶽山頂からの眺め】

御嶽山頂からの眺め

山行情報
日程 2017年9月29日(金)
山名(山域) 御嶽・平岳(九州
入/下山地 御嶽口/瀬田
メンバー 単独行
行動時間 4時間10分
歩行
距離
登り
下り
歩数
11.5km 984m 1019m 24,631歩
■■■

コース(タイム)

御嶽口(07:10)-(08:21)御岳(雄岳)(08:45)-(11:19)瀬田バス停

 《山概略》
 対馬で登る山を一つだけ選んだのが御嶽である。島旅の山はいつも最高峰へ行くのだが、御嶽は最高峰ではない。歴史的に修験道の聖地であり、ツシマヤマネコの生息地でもあるので、その山へ行くことにした。レンタカーを使わずにバスで登り降りできることも条件の一つだった。本土からのアプローチを考えた場合、早朝に到着するフェリーを利用することで時間を効率的に使えることも重要であった。

 《アプローチ編》
 壱岐対馬を巡る山旅で三連休を確保。出発はその前夜で、羽田から福岡空港へ飛び、地下鉄、バスと乗り継ぎ博多港へ。事前に調べていた乗り継ぎ時間で、移動は小走りとなるタイトなものだった。博多港からは22:30発の比田勝港行きフェリー。乗客はほとんどドライバーで、普通の客は数人だった。比田勝港へは早朝の4:20に到着する。
 外はまだ真っ暗で、比田勝港のターミナルの待合室だけが明かりがともっている。しかし人は誰もおらず、閑散としている。下船した乗客もいつの間にか消えている。ターミナルを通り抜けて通りのバス停を探してバスの時刻を確認した。すると、なんと予定していた厳原行きのバスがない。急遽ネットで調べると、どうやらバス停は少し離れたところにある国際線のフェリーターミナルの前にあるようだ。噂には聞いていたが、対馬は日本人よりも朝鮮人の観光客を当てにしているようだ。国際線ターミナルまで10数分歩いて移動した。
 国際線ターミナルの前にはロータリーがあり、バス停で6:26発の厳原行きバスがあることを確認した。まだ待ち時間は1時間以上ある。ベンチに座って夜明けとともにバスが来るのを待った。
 空はすっかり明るくなり、ほぼ時間通り空車のバスがやってきた。乗客は自分一人。まずは車内で一日乗車券を買い求める。この一日乗車券は1,000円だが極めて有効である。国際ターミナル前から厳原まで通常3,370円のところをこの乗車券が利用できるのである。今回は途中下車を挟んで厳原まで行くので2,000円以上お得と言うことになる。
 バスは40分ほど走って御嶽口のバス停に到着する。山の中のバス停で周辺には何もない。登山者のためだけのバス停だ。このあたりに御岳公園があり、トイレや駐車場もあるはずだが確認することができなかった。もう少し厳原側に行ったところにあるのだろう。バス停からすぐ左手に入る道があり、登山口まではその車道を上っていくことになる。


バスを降りしばらく舗装道
【バスを降りしばらく舗装道】
   登山口に到着
【登山口に到着】

 《御嶽へ》
 御嶽口から舗装道を歩いて行く。回りは植林が続く。キタタキ棲息の跡と書かれた案内板があり、この生物が国の天然記念物に指定されるも絶滅したので、指定が解除されたとある。キタタキがどのような生物か分からなかったが、後に調べるとキツツキ科の鳥のことだった。先日、対馬では絶滅したカワウソが目撃されたとニュースがあったことを思い出した。キタタキも朝鮮にはいるようなので、飛んでこないこともないだろう。
 車道を20分ほど歩くと正面に鳥居が見えてくる。その手前の右手には数台分の駐車スペースがある。ここが御岳の登山口のようだ。道はそのまま続いているが、ちょうど鳥居が車道と山道の境に立っている。登山口の標高は120m、御嶽の山頂は479mなので標高差はたいしたことない。薄暗い山道へと足を踏み入れた。
 登山道は左手の沢に沿って延びている。少し進むと沢に架かった1mほどの石橋を渡って沢の左側を歩くようになる。そして階段状の急坂が始まり、尾根道となる。ベンチの前を通過し、今度は木の橋を渡る。山頂まで800mと書かれた指導標を通過。ツシマヤマネコの生息地保護林のエリアに入っていく。案内板によると、保護林は山頂を中心にそれほど広くはない範囲が指定されているようだ。このあたりはモミと広葉樹の針広混交樹林の自然林だそうだ。


ヤマネコ保護区へ入る
【ヤマネコ保護区へ入る】
   大国魂神社を通過する
【大国魂神社を通過する】

 ヤマネコと出会えるとは思えないが、一応周囲を気にして道なりに歩いて行く。ツシマヤマネコではなくてもヤマネコというものは普通の山にはいるのだろうか。これまで見たことはない。見るのは鹿か猿かカモシカくらいである。ちなみに御嶽では下山するまでヒトを見ることもなかった。
 目先に木造の小屋が見えてくる。近づいてみると島大国魂神社だった。近くには水場がある。そこから更に階段状の登りが続く。倒木の下をくぐり、山頂まで200mの指導標がある。そして再び先ほどと同じツシマヤマネコの看板がある。ここから左手の道に入り、山頂まではピストンとなる。

道は整備されている
【道は整備されている】
   御嶽山頂に到着
【御嶽山頂に到着】

 急坂を上り、石組みの上に立つ連続した鳥居をくぐる。そして最後は石段を登って御嶽の山頂(479m)に到着する。山頂には大きな玄武岩の岩が転がり、その岩の側に張り付くようにいくつもの祠がある。
 山頂からは岩や樹林で周りがよく見えない。岩の上によじ登るとようやくまわりの景色を見通すことができる。真っ先に探すのは朝鮮半島だが、晴れてはいるものの遠くは霞んでよく見えない。そもそも見えないのかもしれない。しかし、この対馬の土地が山岳地帯であることは良く分かる。標高は低いものの山の周りはすぐ海岸線で、人が住む平地がほとんどないようだ。
 今回は、最近買ったばかりの全天球カメラRICOH THETAでパノラマ写真を撮ってみたので貼り付けてみる。
対馬の御嶽山頂からの風景 - Spherical Image - RICOH THETA


かろうじて見える眺望
【かろうじて見える眺望】
   平岳方面へ縦走
【平岳方面へ縦走】

 山頂でTHETAをあれこれといじくり、20分ほど滞在して下山を始める。山頂直下の分岐からは稜線を南の方へ進み、平岳を目指した。
 稜線は歩きやすく、落ち葉を踏みしめながら軽快に進む。しばらく進むと、石が寄せられなにやら標柱が立っている。文字は確認できないが、ここが平岳の山頂なのだろうか。更に進むと、山頂まで1350mとの標識があるが、これは御嶽までのことだろう。平岳は無視されている。この地点から右手の方へ下っていく道がある。しかしここは直進して、国土地理院の登山道通りに進むことを試みた。

ここが平岳山頂だろうか
【ここが平岳山頂だろうか】
   三角点を通過する
【三角点を通過する】

 登山道のようなそうでないような道を少し進むと三角点がある。ここまでは地図上の位置が明確である。しかしそこから先は道を彷徨うことになる。踏み跡らしきところを進んでいくが、しばし道が消え、進んだり戻ったりの繰り返しが続く、GPSがあるので迷うことはないが、何度も急坂を下ったり登ったりではいい加減疲れてくる。ついに諦め、先ほどの明確な下り道まで戻ることにする。

杭に沿って下る
【杭に沿って下る】
   平岳登山口に降りる
【平岳登山口に降りる】

 先ほどの三角点を通り過ぎ、山頂まで1350mのところから下り始める。道脇には杭にロープが渡されているのでそれに沿っていけばよい。ドウ坂と名付けられた道で、急下降が続く。山頂まで2300m地点を通過すると、その先で旧国道に出る。こちらの登山口にはしっかりと平岳登山口とかかれた道標があり、数台分の駐車スペースも確保されている。
 旧国道は左手の方へ進む。瀬田のバス停まではまだ距離があるので覚悟して歩かなければならない。この旧国道は、御嶽の下を貫く御嶽ヤマネコトンネルができてからほぼ廃道となっている。車止めはないので車が通行することはできるのだが、荒れ放題で通行は困難だ。土砂崩れはそのままで、倒木もほったらかし、歩いて通る分は影響はないが、舗装はしっかり残っているだけにこのままだと劣化は早いだろう。
旧国道は荒れ放題
【旧国道は荒れ放題】
   瀬田のバス停に到着
【瀬田のバス停に到着】

 バイパスの下をくぐり、国道382の標識を通過する。そして第六十番札所の小屋の前を通り、道はトンネルの出口があるバイパスと合流する。バイパスの方は車が結構行き来している。歩道がないので路側帯の端を歩いて行く。
 しばらく歩くと、ぽつぽつと民家が現れ、三叉路の所にある瀬田バス停に到着する。次のバスまでは約50分待ち。ほぼ予定通りの到着だった。待ち時間はバス停前の商店の親爺さんと雑談をして過ごした。
 この日は厳原の西山寺に宿泊し、翌日は壱岐へ向かう予定である。壱岐の方は対馬と違って山がないので、観光バスで島の最高地点へ行くことになる。

《壱岐・対馬の風景》
厳原港 西山寺 金石城跡
 【1.厳原港】
 【2.西山寺】
 【3.金石城跡】
岳の辻展望台 猿岩 郷ノ浦
 【4.岳の辻展望台】
 【5.猿岩】
 【6.郷ノ浦】
Camera:CANON EOS M3

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