橋本駅から車で1時間半もあれば東日原まで行けるだろうと思っていたが甘かった。八王子を抜けるのに思いの外時間がかかってしまったのだ。予定では東日原に車を止め、9:03発のバスで川乗橋まで行き、川乗橋からは鳥屋戸尾根を登り、蕎麦粒山、天目山を踏んで、ヨコスズ尾根を下って東日原まで戻るはずだった。東日原に到着したのは、そのバスとすれ違って1分後だった。あと10分早く着いてれば予定通り行動できたのだった。
計画はとりあえず逆コースになり、
ヨコスズ尾根を登ることになった。東日原の駐車場は地図には有料と書いてあったが、管理人は不在で無料だった。管理人の小屋はあったが長いこと使われていない感じだった。
駐車場からバス停の前を通過し、天目山・酉谷山方面を示す指導標に従って歩く。斜面にへばりつくように建っている集落を抜けるところから急斜面が続き、石垣のトラバースから杉山の中へと入っていく。なぜかその杉林の中に電灯が点っている。どうやら杉林の登山道は生活道路らしく、杉林を抜けると数件の家があった。
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【東日原登山口】
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【杉林のつづら】
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【滝入ノ峰頂上】
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再び杉林に突入し、急坂のつづらが続く。つづらの割には急斜面でつらい登りが続く。はじめ自分がトップで歩いていたが、Chifuさんが早すぎるというので、トップを譲った。しかしChifuさんは先ほどとほとんど変わらないスピードで登っていった。路傍に花など無く写真を撮ることもないので、休憩もなしにぐんぐんと登っていく。
眺望も花もなく、撮る写真は杉林ばかり。果てしない登りが続き、滝入ノ峰を右に巻くところで道のないヤブの中を山頂に向かって直登を始めた。GPSで確認すると、山頂は100m先にあるはずだ。立木をつかまえながら体を引き起こし急坂を登っていく。地面は落ち葉で滑るのでなかなか前に進まない。時間をかけてようやく山頂に到着。
滝入ノ峰(1309.9m)の頂上には三角点があり、修験者の御札のような板が刺さっていた。眺望はないが立派な山頂で、人が訪れることもほとんど無いのだろう。少し休憩して北の尾根伝いに下っていった。
一般ルートと合流しダケカンバ林の尾根を登っていくと
一杯水避難小屋に到着する。ベンチやテーブルもあり休憩適地である。昼食休憩とし、いつものようにおにぎり二個を食べる。
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【滝入ノ峰からの稜線】
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【一般道と合流】
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【煙突掃除】
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3メートルほどの木を担いだ人が登ってきた。木は薪にするらしい。この小屋に泊まるにしてはずいぶん早い時間だ。聞くと小屋の管理人みたいなものだと言っていた。
Chifuさんの時計によると、一杯水避難小屋到着は12時45分で、ここまで3時間半ほどかかったことになる。滝入ノ峰に立ち寄ったとはいえ、かなり速いペースで歩いている。コースタイムより1時間も余計にかかっているのは不思議だ。川乗橋のバスは15:58発なので、3時間で下るのは無理そうだった。縦走を諦め天目山に行ってから東日原に下ることになった。しかし、天目山の山頂に着いたときに、Chifuさんの時計が1時間進んでいたことが発覚するのである。そのときは後の祭りで、すっかりのんびりモードになっていたのである。
【一杯水避難小屋】
秩父多摩甲斐国立公園一杯水避難小屋(東京都奥多摩町氷川字桂谷)
急ぐことも無かろうと、避難小屋の中を偵察しようと中をのぞいてみた。入ってすぐに小振りのストーブがあり、板の間は綺麗に掃除されていた。20人ほど泊まれそうだ。先ほど木を担いできた人がストーブを掃除していた。はじめはストーブの中を掃除していたが、外に出て煙突を掃除し始めた。ハシゴに乗って煙突のL字型の部分を外すとススだか炭が大量に落ちてくる。L字型にもかなり溜まっていた。ストーブは手入れをしないと使えないことがよく分かる。
小屋の壁に掛かっていた温度計を見ると7度だった。この日は風が少ないので暖かく、登りは汗ばむほどだった。もうすっかり春の陽気である。雪もほとんど無く、時々残雪が転々と残っている程度だった。小屋には小さいながらもトイレが付いていた。
小屋の裏に続く道から天目山へ向かった。三ツドッケとも言うことから、天目山は真ん中の峰で、避難小屋からはひとつ峰を越えていかなければならない。その峰の下りは雪が残っていた。
【天目山頂上】
ここに来るまでの道のりは、ほとんど眺望に恵まれなかったが、天目山頂上は障害物が伐採されたおかげで見通しがよくなっている。
天目山(1,576.0m)の山頂に到着。すぐに富士山の姿が目に入ってきた。南側の眺望が開けている。山頂にいた一人の男性が声をかけてきた。「眺めが良いでしょう、以前は木に囲まれて何も見えなかったんだ。」「私が切ったんだ」「えっ!?」「私のお山ですか?」「いや、勝手に切ってから警察に出頭した。罰金を30万円払った。こんなに眺めが良いのにもったいない」などと言葉が続いた。確かに山頂に眺望があるのと無いのとではだいぶ違う。眺望がなければ三角点にでもタッチして即下山であるが、あるとそれらを見て山座同定したりして山岳展望を楽しむことができる。山の木を勝手に切ることの是非はよく分からないが、本人は悪びれる様子もなく武勇伝のように語っていた。
勝手に伐採したご利益で、山岳展望を堪能した。見える山は、今登ってきたヨコスズ尾根、丹沢山稜、三頭山、富士山、大菩薩嶺、雲取山、伊豆ヶ岳、蕎麦粒山など。北側だけは展望が遮られている。久しぶりにパノラマ写真を撮ることができた。
【天目山からのパノラマ】
天目山から避難小屋まで戻ると、煙突からは煙が出ていた。掃除も終わり火が付いたのだろう。小屋の中にはよらずに避難小屋の名前にもなっている一杯水を見に行くことになった。蕎麦粒山方面へ5分ほど歩いたところにあるという。トラバースの道を歩いていくと、沢筋に
一杯水があったが枯れていた。枯れている場合は、10分ほど下ったところに水場があるという案内書きがあった。よほどの緊急事態でもない限り下りたくはない沢だ。枯れた一杯水を確認しただけで避難小屋へ戻った。
避難小屋からはそのまま東日原まで下る。麓近くの杉林のつづらは下るのも苦労する急な坂で、勢いが付き3時前(正しい時間)には
東日原の駐車場に到着した。
下山後は久しぶりに温泉へ。奥多摩と言ったら
もえぎの湯しか思い浮かばず、そこへ行った。激混みを覚悟していったものの、駐車場は待ち行列もなくすんなりと入ることができた。入湯料の750円は若干高いが都内の温泉ということで仕方がない。湯は肌を溶かすほどのツルツル温泉だった。
帰りは、日の出ICから圏央道に入り八王子ICで降りる。一般道になった瞬間に道は酷く渋滞し橋本駅までの道のりがやけに遠く感じた。
歩数:13,551歩
立ち寄り湯情報
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奥多摩温泉 もえぎの湯★★
場所:東京都西多摩郡奥多摩町氷川119-1(TEL:0428-82-7770)
泉質:フッ素温泉
料金:750円・時間:3月〜11月9:30〜21:30/12月〜2月9:30〜19:00
休館:月曜、食堂有
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