しばらく車を動かしていなかったので、車で山へ行くことにした。当初は雁が腹摺山のリベンジかと思われたが、大峠への林道開通状況がわからなかったので、その先の鶏冠山へ行くことにした。今回お供をしてくれるのは、Chifuさん。橋本駅南口に7時に集合とした。この場所と時間は昨年暮れの時の山行の集合と同じで、そのときは寝坊をしたChifuさんが現れなかったという曰く付きの場所と時間である。当時はリアルタイムに連絡を取る手段がなかったので難儀したものだ。
当日はそんな心配もなく、定刻に現れたChifuさんと合流し、早速出発。道は、相模湖、上野原、西原と経由し小菅へ至る。ふと道路標識をみると、この先通行止めと書かれていた。気になったので、通り過ぎたばかりの小菅役場で情報を得ることにした。土曜日にもかかわらず、役場の中には作業服を着た職員がおり、トサカ山へ行きたいんですけど。と聞いてみた。しかし、そのような山は聞いたこともない雰囲気で、何その山、どこにあるのと言われてしまった。すると奥の職員が、ケイカン山のことだろうと助け船を入れてくれた。どうやら地元ではケイカン山と呼ばれているらしい。ガイドブックではトサカ山のはずだ。ちなみにパソコンでもケイカンサンでは正しく変換されず、トサカヤマでは鶏冠山ときちんと変換してくれる。
小菅役場で得た情報によると、通行止めは大菩薩方面の道で、鶏冠山方面は問題ないとのことであった。そして、鶏冠山へは山頂直下まで林道が続いており、それを使えばあっという間に山頂に着くとのこと(もちろんそんな林道は利用しないが)。最後にガイドマップを入手して役場を後にした。
【柳沢峠の駐車場】
それほどメジャーな山でもないのだが、市営の無料駐車場は広く、トイレも綺麗だ。
役場の話で金山経由のコースを歩くつもりであったが、三条新橋の入り口を通り越してしまい、柳沢峠まで来てしまった。結局当初の予定通りのコースを行くことになった。峠の売店の裏手には、登山者用の大きな駐車場が用意してあり、そこに車を止めた。そこには数台の車とともに、暴走族の一団がたむろしていた。この峠はローリング族の活動の場ともなっているようで、来る途中何台ものバイクを見かけた。
山行準備をしていると、駐車場の入り口で大型バスが何度も切り返しをしてこの駐車場に入ってきた。悪い予感がしたが、バスの前面には「千葉県ハイキングクラブ」とプレートがあり、中からは何十人ものハイカーがぞろぞろと降りてきた。山における大集団パーティーは迷惑の元である。その迷惑に巻き込まれないために、我々はそそくさと出発した。
峠の国道を横断して早速山に入る。笹が生い茂る坂を登っていくと、ブナ坂と書かれた指導標がある。道は梅の木尾根と花の木尾根に分かれている。柳沢峠周辺は東京都の水源域となっているため、東京都水道局が森を整備している。そのため、登山道は「ブナのみち」として自然観察道のようになっている。案内図も多く設置され、途中分岐も多い。ここでは梅の木方面に進む。
【六本木峠】
六本木峠から様々な道に分かれる。大菩薩嶺への道もここから。
駐車場から40分ほど歩いて六本木峠に到着する。六本木といえば東京の繁華街で、そこへ行ったからと言って六本の木を探す者はいないだろう。しかし山の中で六本木という場所に至ると、何か特徴のある六本の木があるのではないかと辺りを見回してしまう。この六本木峠には同じような木が無数に立っているので、特定は不可能である。この先の三本木も同様で、このネーミングの意図が不可解だ。
松尾根を下り、林道を横切る。右手の方に山頂が見えてくるが、鶏冠山だろうか。その形はトサカにはなっていない。横手峠には黒川金鉱の分岐がある。黒川金鉱は、戦国時代に武田信玄の軍資金となったそうだが、こんな山奥によく金鉱を見つけたものだ。金鉱跡地も訪れたい気もしたが、今回は山頂を優先した。横手峠から東の尾根を山頂へ向かって登った。30分ほどで山頂と見晴台への分岐があり、左手を登ると木々に囲まれたピークとなる。三等三角点があり、小さな板に、黒川山(横手山)1710mとある。温度計があり、見てみるとマイナス20度を指していた。壊れているらしい。ちょうど二人組のおばさんも到着し、鶏冠山から戻ってきて、ここで休憩するという。鶏冠山のピークは別の場所にあり、休憩適地ではないということだろう。
【黒川山頂上】
三等三角点(1710m)のある山頂。林の奥に大菩薩嶺が見える。
黒川山のピークから見晴台へ移動する。大きな岩があり、それが見晴台となっているようだ。その岩にへばりつくように4人が休憩していた。岩の上に立つと、なるほど見晴らしは良く、大菩薩嶺と富士山がツーショットで見えている。
【見晴台からの眺望】
大菩薩嶺と富士山のコラボだが、富士の方は写真では写りにくい。
鶏冠山のピークへと向かった。林の向こう側にそそり立つ岩峰が見えるので、それがトサカなのだろう。山頂まではいくつかのピークを越えることになるのだが、目印も何もないピークをはじめは山頂と勘違いし、そこで休憩するところだった。しましそこから少し奥へ進むと、鶏冠山神社奥宮がこの先にあることを示す指導標があり、さらに奥へと歩いた。
鶏冠山の山頂へは右に回り込むように道が続いている。それほど広くはない山頂で岩場以外は木が生い茂っている。すでに3人ほどがそこで休憩していて、その奥にほこらがあった。よく見る山梨百名山の標識も立っている。ほこらの後ろ側が岩場の一番高いところになっており、そこに座って休憩した。
【鶏冠山頂上】
山頂はわかりにくいところにある。この辺り一帯が岩山となっている。
昼食はコンビニで買ったおにぎり二個とカレーパン、そしてチーズ。ものの五分で平らげてしまう。Chifuさんは、カップ麺を作ろうとしたものの、水を忘れてきたようだ。意地でもカップ麺を食べたいようで、水の代わりにウーロン茶を沸かしてカップ麺に注いで食べていた。不味くはなかったようだ。
この山頂にも温度計が設置されていた。こちらは壊れておらず、12度を示していた。山へ入るには快適な温度だ。山頂であっという間の一時間を過ごし、来た道を戻った。そしてついにあの大集団と交差するときが来るのである。その瞬間はやせ尾根を歩いているときだった。その大集団を目の当たりにし、こちらが止まってやり過ごすことになった。子供の頃、踏切や駅で目の前を貨物列車が通り過ぎるとき、その貨車の数をよく数えたものだ。それと同じ感覚で今目の前を通り過ぎていくハイカー集団の数をカウントする。するとその数39。貨物列車でもそんな数を記録したことはないはずだ。ましてや、あの山頂にこれだけの数が収容できるのも不可能な話だ。
【多摩川源流域一望】
遠回りの道を選んで下ると、思いがけない好展望の場所に出た。
六本木峠からブナのみちに入り、登ってきた道ではない道を下ることにした。少し下ると、すぐに「多摩川源流部の眺望」という展望台にでる。北方の山並みが一望でき、右の方から飛龍山、東仙波、唐松尾山、笠取山、破風山などが見える。これらの山並みのほとんどが多摩川の源流域で、東京都の水源林となっているようだ。
イモノキ尾根、ブナ坂と経由し、柳沢口に出て峠の駐車場へ戻った。
車で山へ来たからには、温泉に入らなければならない。柳沢峠から一番近い温泉である、「大菩薩の湯」へ向かった。塩山方面に車を走らせ、数分で到着。駐車場から番所風の門構えで出迎えてくれる。料金も600円と手頃だった。
横浜までの帰りは覚悟していた渋滞。勝沼から乗った高速は上野原で降り、藤野、青野原経由で帰った。
温泉情報
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大菩薩の湯★★★
山梨県甲州市塩山上小田原730-1(TEL:0553-32-4126)
泉質:高アルカリ性泉、600円・10:00〜20:00
休館:火曜日、祝日の翌日、12/29〜1/3
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