日本百名山黒部五郎岳 |
歩行データ:距離 19.0km、標高差 0m、登り 行き965m(1393m)、下り 行き428m(1393m)
北アルプス生活も4日目。都会の堕落した生活に体が慣れているので、不便な生活を続けているとそろそろ疲れて来てホームシックになるものだが、まだ意外と元気だ。この日は黒部五郎岳に行く予定だ。昨夜は中部地方の仲間が2人合流し、彼らと勝野さんは赤木沢へ行くことになっていたので、私とChifuさんで黒部五郎岳へ行くことになった。 この日も暗いうちからの早出である。赤木沢組とは太郎平小屋方面まで一緒で、ヘッドライトの光を頼りに闇の中を進む。太郎平小屋を越え、太郎山の手前の分岐で赤木沢組と分かれる。 太郎山を越えた鞍部のあたりの木道で、朝食休憩を取ろうとしたところで事件が発生。昨夜作ったおにぎりの包みが、なんと別のものとすれ変わっていたのである。ここではChifuさんの名誉のためにも詳細は記さないが、朝食抜きで10時間行動を取ることになった。たとえ山とはいえ一食抜いたところで行動に支障はないだろう。腹の周りには燃やすべき脂肪はいくらでもついている。とりあえず行動食のカロリーメイトを2本ほおばった。 最初の休憩場所でご来光を拝もうと思っていたが、どうもまだ出てくる気配がないので、先に進むことにした。この日は稜線歩きなので、昨日まで機会がなかったご来光を拝むことを期待していたのである。そして北ノ俣岳に向かって登っていく途中の5:30くらいに東の稜線からまぶしい太陽が顔を出してきた。 【1.正面の黒部五郎岳を目指す】 夜明け前から歩き始めたが、この頃には山肌に日が差している。北ノ俣岳までは、長い緩やかな登りが続く。5:57 薬師峠から黒部五郎岳までは、主に3つのピークを越えなければならない。太郎山、北ノ俣岳、赤木岳である。縦走ならそれらは一回ですむのだが、往復なので行きも帰りも登ったり下りたりの連続である。なかなかハードな行程である。唯一の救いは荷物が軽いと言うことである。 北ノ股岳、赤木岳を越え、中俣乗越の鞍部まで至る。ここまでは一昨日赤木沢から這い上がって歩いてきた道である。そのとき黒部五郎岳も行っておけば良かったのだが、時間も体力も無理があった。時間的には今日の方が4時間ほど先行している。
【4.黒部五郎の肩】 黒部五郎の肩から黒部五郎小屋方面と、黒部五郎岳山頂に道は分かれる。山頂までは15分の登りだが、縦走者の中には山頂へ寄らずに通り過ぎる者もいた。撮影は下山時。10:02 黒部五郎の方の向こうには五郎のカール見える。その向こうには赤い建物がぽつんと緑の中に立っているが、黒部五郎小屋だ。薬師峠のテン場と違って開放的な場所にあるので、そこのテント場で泊まるのは気持ちが良さそうだ。 肩でしばらく休憩した後、山頂までのガレ場を一気に登り、標高2839.6mの黒部五郎岳の頂上に立つ。 【5.黒部五郎岳山頂】 2839.6m、9:30 五郎と名の付く山はたいてい岩がゴロゴロしている場合が多い。五郎といって思い出すのが奥秩父の五郎山だが、そこも岩が多い。北アルプスには、黒部五郎と野口五郎があるが、前者は黒部村、後者は野口村に属していたため、それぞれそのような名前になったようだ。 【6.山頂からのパノラマ】 山頂は岩場でそれほど広くはなく、360度遮るものがないので、パノラマ写真を撮るには絶好の場所だ。 黒部五郎岳の山頂からはそうそうたる山が見えている。百名山だけでも、薬師岳、剣岳、立山、火打山、巻機山、白根山、浅間山、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳、駒ヶ岳、槍ヶ岳、奥穂高岳など。残念ながら富士山は雲が多く見えなかった。 【7.チングルマの群落】 稜線は様々な花が咲いているが、とりわけチングルマが多い。風に吹かれて花が小刻みに揺れている様がかわいい。12:56 【8.太郎平小屋が見えてくる】 前日もこの道を下っているが、そのときはガスで何も見えなかった。この日は、遠くから小屋が見え始めなかなかたどり着かない。木道が続き、足にマメができつつあるので少し痛い。小屋泊まりのおばさん達だろうか、軽装で付近をのんきに散策していた。13:50 太郎平小屋で、Chifuさんに生ビールをおごってもらった。何か食べたいところだったが、昼の時間は過ぎていたためか、小屋でラーメン等の食事は提供されていなかった。これも試練だ。 小屋の前のベンチで30分ほど休み、薬師峠のテン場へ戻ると3時くらいだった。朝は4時に出ているので行動時間は10時間あまりとなった。
【8月15日】 五日目は下山。テントを撤収して折立へ下りていく。登って来たときはあまり周りの風景を見る余裕もなかったが、起伏のなだらかな尾根が広がる様は見ていて気持ちがよい。途中数回休んで9:33に折立到着。 富山県まで来たついでにあわよくば白山まで登ってしまおうと思っていたが、さすがにその気は失せてしまっていた。これまでの四日間は好天に恵まれ、素晴らしい自然を堪能できている。これ以上白山に行って良い思いをするというのも贅沢すぎるのではないだろうか。 下山後の温泉は、富山方面へ帰るのであれば、国民宿舎白樺ハイツが比較的近いのだが、首都圏方面だと新穂高温泉まで行かなければならない。しかし、勝野さんおすすめの温泉が高山方面にあるというので車で付いていった。トヤ峠というとんでもなく狭い林道を抜けて丹生川町へ入ると山あいの何もないところにぽつんと小さな小屋が建っていて、それが恵比須之湯という温泉小屋だった。何でもダム建設の見返りに掘って造った温泉のようで、木造のシンプルな小屋だった。 恵比須之湯の営業時間は13時からと、まだ1時間以上あった。コスモス街道(国道158号)まで出て食事をすることにし、ドライブインの食堂(やけに混んでいた)で、飛騨牛入りのランチを食べた。 温泉へ戻る途中無人販売所に立ち寄りトマトを100円で買った。自宅の近所で買えば500円はしそうな量だったので、かなり得した気分だ。温泉の駐車場に戻ると、先ほどは1台も止まっていなかった車が7〜8台ほど止まっていた。開業時間に合わせて来るとは地元の常連だろうか。入浴料は500円と普通の金額で、地元の人の料金差別はない。それほど大きな温泉ではないが、内湯、露店、源泉と3つの湯船がある。湯は赤茶けていて成分が濃い温泉だ。北アルプス稜線と比べここは30度を超える猛暑、25.5度の源泉が気持ちよかった。 温泉の後はまっすぐ横浜へ帰る。恐れていた渋滞は、帰省渋滞は全くなかったものの、ちょうど諏訪湖の花火大会と重なり、諏訪湖周辺の道という道は全て渋滞。一体を抜けるのに2時間以上かかった。その後は順調で、その日のうちに自宅に到着した。
Camera:Panasonic DMC-FX9,Canon EOS 10D
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