大連 2006 |
【二日目】 【ホテルの部屋から】 朝、ホテルの部屋19階からの風景。大連港方面が見える。湾の向こう側が開発地区となっている。空気がよどんでいることの多い中国で、この日はよく見えている方だろう。 朝食は一階のレストランでバイキング。三日間同じものを食べることになる。以前であれば物珍しくバカ食いをしたものだが、最近では小食になった。ホテルが変わっても出るものはだいたい同じだ。食事を終えてひと休みしてからタクシーで大連森林動物園へ向かった。 フリーで中国の各都市に行くと、なるべく動物園に行くことにしている。目的はただひとつでパンダを見るためである。他の動物には興味がない。これまで、上海、広州に行っている。いずれの動物園も一匹しかパンダがいないというのは本国中国にあって意外なことだった。大連の動物園にも一匹しかいないことはガイドブックで分かっていた。 ホテルから10分ほどで動物園に到着した。大連は狭いので、どこへ行くにもそう時間はかからない。 大連森林動物園の入場料は80RMBと高い。日本の動物園は500円くらいが相場だろうが、その倍近いことになる。入口でチケットを買おうとすると、いかにもダフ屋のような男がやってきて、70RMBでチケットを売ってやると言ってきた。中国の観光地の出入り口には必ずこの手の商売人が存在する。以前北京では、頤和園の出口で白タクの男に捕まったことがある。そのときはダマされたというようなことはなく、お得に済んでいる。 そのダフ屋の男であるが、怪しい気もしたが、入口の真正面でその商売を行っており、しかも正規のチケット売りの係員と会話も交わしたりしている。言われるがままに70RMBで買うことにした。渡されたチケットは招待券のようなものではなく、普通の80RMBのチケットだった。一部始終を見ていた入口の係員にそのチケットを渡し、中へ入った。 動物園の敷地は広大でしかも山の中にある。歩いて移動するのはなかなかたいへんで、移動するためのカートが待ちかまえている。もちろん有料で、一回10RMBのようだ。ちょっと移動するだけで10RMBというのはとてつもなく高い値段である。街でラーメンをいっぱい食べることができるほどである。先ほど浮かした10RMBでこのカートに乗り、奥の方へ入っていった。 電動カートは音もなく坂道を登っていき、数百㍍走ったところで降ろされた。目指すパンダ館は降ろされた場所から更に少し歩いたところにあった。 【大熊猫】 大連森林動物園のパンダ。隅の方で寝ていた。ときおり寝返りをうっている。待っていても起きあがりそうにない。観客サービスの悪いパンダだ。 大連森林動物園は、敷地面積はやたら広いが動物は少ない。敷地の一部は第3期の工事中だ。入口で買ったチケットは敷地内の山の反対側に渡るロープウエイの料金と、その反対側にあるサファリパークのようなところを走るバスの乗車券も含まれている。 動物園の南(海)側へ行くために全長1200mのロープウエイで南側に乗った。このロープウエイは、ケーブルが細くなんだか心許ない。乗降の時も減速することなく、タイミングと勇気を持って乗降しなければならなかった。年寄りが乗るのはちょっと無理ではないだろうか。 【ロープウエイから】 公害だろうか、晴れてはいるが見通しは良くない。熱帯雨林館のドームや海が見える。 9月の大連は暑いと言うことはないが、歩き回ると汗が出てくる。熱帯雨林館の中は当然外より暑いと思って覚悟して入ったが、意外なことに冷房が入っていた。中は熱帯性の植物が生い茂っている。 次にバスに乗って、サファリパークのようなところに入る。中には猛獣が放し飼いになっているのだが、種類毎に区画が設けており、そこを通過するたびに係員がゲートを開け閉めしている。ここの一番の見どころは狼区画である。バスがそこに入り込むと、一見、どこに狼がいるのか分からない。そこでバスの運転手が、狼はエサをやると出てくるのだが、みなさんで100RMB出すとそのエサを与えることができる。みたいなことを言った。すると一同、見たい見たいといういことで、乗客のひとりが集金を始めた。20人ほどの客が5RMBづつほど出しあい、お金は集まったようだ。しばらくすると奥からピックアップがやって来て、その荷台のゲージには鶏が数羽入っていた。同時に狼の集団がどこから戸もなく集まってきた。狼にとってはこれから何が起きるのかは分かっているようだ。ピックアップの運転手は鶏を一羽つかむとそれを外に放り投げた。その鶏は地上に着地するより早く狼に捕まり、十数匹の狼たちによってずたずたに食いちぎられるのであった。車内一同は大喜び。 バスは、豹、草食動物、熊、ライオン、虎のそれぞれの区画を通過して出発地点に戻った。狼の食事シーンなど、日本では残虐すぎて決してみることはできないだろう。中国ならではのイベントであった。 【狼の群れ】 大連森林動物園の猛獣エリア。バスに乗って見学する。狼の群れが鶏を襲って食べているところ。 動物園を出て、タクシーで星海公園へ向かった。タクシーはほとんど信号のない道を快適に進む。途中ロータリーをぐるりと半周して交差点を渡る。日本にはロータリー式の交差点は全くないと思うが、大連には特に多い。車が停まることなくスムーズに進むので、効率の良い交差点システムだ。日本はやたらと信号を増やして交通事故を減らしているのだが、これは本末転倒なことである。町中の車を赤信号で動かないようにすれば交通事故が減るのは当然のことである。いかに車のスムーズな運行を妨げることなく、交通事故をなくすかを考えなくてはならない。 道路事情においては、中国には参考になることが多い。その特徴としては、1.幹線道路には横断歩道を設けない。歩行者は地下道を渡る。2.車は左折禁止(中国は右側通行)。左折したい場合はその先のロータリーで引き返し右折。3.信号交差点を極力少なく、幹線道路の交差以外は交差点としない。日本の信号機は膨大な量だが、その電気代は誰が払っているのだろうか。たぶん税金なのだろうが、信号機が減れば消費電力も減り、地球にも優しいのだが。中国は横断歩道がないかわりに、歩行者は好き勝手に道路を横断している。傍目には危険だが、逆に自己責任で渡っているという意識が強く、意外と事故は少ないのである。 【星海公園】 日本統治時代の1909年に『星ヶ浦公園』として整備された。 夏には海水浴場となるようだ。この付近は激しく売り込みがつきまとう。 星海公園の周辺は高級住宅地となっているそうだ。海岸は夏場には中国では珍しい海水浴場となる。中国では、昼間は海に入らずに、日が落ちてから入るらしい。日本とは全く逆である。昼間は有害な紫外線が照りつけているからで、理にかなっている。そう言えば、陽朔へ行ったときも、夕方を過ぎてから子供達が川の中に入り、泳いでいる姿が見られた。 【八栄八恥】 市内の至る所でこのスローガンが見られた。 八栄とは祖国熱愛、人民奉仕、科学崇拝、勤勉労働、団結互助、誠実信頼、法規順守、刻苦奮闘。八恥とは祖国損壊、人民背離、無知蒙昧、安逸怠惰、私利私欲、道義忘却、違法乱規、贅沢淫乱。 星海公園へ来たのは、沈没しかかった豪華客船オリアナ号を見るためであったが、すでに修復されたのか海辺でそれを見つけることはできなかった。しかも後によくよく調べてみたら、その場所は星海公園ではなく、星海広場の方だった。星海広場は先ほどタクシーで通り抜けた場所だ。いずれにせよ現地の人に聞いても、何のこと?というような感じだったので、やはりもう撤収されたのだろう。 星海公園からタクシーで市内の中心部に戻り、いくつかのデパートを巡って、安い携帯電話を探した。
昨夜は焼き肉で贅沢をしているので、今晩は質素に吉野家の牛丼を食べることにした。日本の吉野家はしばらくメニューから牛丼が消えていて、最近になってようやく期間限定で牛丼を出すようになったようだ。しかし、中国の吉野家で牛丼を出さなくなったという話は聞いたことがない。米国産の牛肉を使っているのか、中国国産の牛を使っているのか、はたまた狂牛病自体を気にしているのかさえも定かではない。ともあれ、日本で食べにくくなった吉野家の牛丼を中国で食べることは、かねてからの念願だった。 大連繁華街の吉野家は食事時ともなると、大勢の客でごった返している。何かのキャンペーンを行っており、35RMB以上の会計で吉野家特製の竹箸が当たるというので(竹箸は末等)、意地でも35RMB以上の注文をした。35RMBといえば、500円ちょっとの金額であるが、中国の吉野家の物価は日本の半分くらいであるので、日本の吉野家で1000円使うようなものだ。日本の吉野家でひとり1000円使う客はまずいないだろう。 くじは残念ながら末当ではなく三等で、歌手か何かのポスターだった。末等が当たらなければ意味がないので、また明日の食事も吉野家となることに決まった。 久しぶりに食べた牛丼の味であるが、かつての日本の牛丼と全く同じというわけではない。米も水も違うので当然ではある。しかし、松屋やランプ亭の牛丼ではなく、吉野家の牛丼の味であった。 Camera:Panasonic DMC-FX9 次へ |
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