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九州の山

黒岳

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くじゅうの最深部にある原生林の山に行く
日程 1997年5月23日(金)
山名 黒岳
山域 くじゅう
入/下山地 男池
メンバー 単独行


 学生時代には毎年のように訪れていた九重ではあるが、黒岳へ行ったことは今までなかった。九重のメインの登山口である長者原をよく利用していて、黒岳へ行くにはちょっと距離があったからで、坊ヶ鶴にベースを張ったときも、大戸越で黒岳へ行くことはなかった。
 今回は九重のピークの中で唯一未踏の黒岳を、福岡出張の機会を利用して登ることにした。福岡で仕事を終えた翌日に年休を取り、贅沢な平日登山とした。なぜ平日登山が贅沢かというと、人が少ないからというのがその主な理由である。
 日本百銘水で知られる登山口の男池も初めて訪れることになる。朝6時過ぎ、福岡の実家から車を走らせ、国道210号を別府方面へ。太宰府ICから九重ICまで高速道を使えばかなり早く行けるが、急ぐことはないので高速利用は一部にとどめる。
 水分峠からやまなみハイウエイを南下し、旭の交差点で左折するところを、周りの景色に見とれているうちに通り過ぎてしまった。この日の天気は快晴で、やまなみの緑がとても美しくはえている。気がついたら長者原の手前まで来ていたので、引き返して旭を右折。このあたりから道がわかりにくくなるが、黒岳方面の道標に従い進む。離合するには減速が必要な程度の狭い道で、見通しの悪いカーブの連続もある。平日の朝で、車はないだろうとたかをくくっていたら、突如ダンプが現れてびっくり。
 男池の駐車場には9時少し前に到着。思いの外立派で大きな駐車場で、駐車場の前だけ2車線ある。東陶の寄贈したという綺麗なトイレも立派だ。そういえば東陶は九州の企業だ。


【男池駐車場】

休日はすぐに満車になる駐車場だそうだが、この日は数台が停まっているのみ。しかし山から下りてくると、平日にもかかわらずかなりの車が止まっていた。


【黒岳】

駐車場から黒岳を望む。緑深い山である。


 駐車場から50メートルほど道を戻ると登山口がある。その間には2件ほど売店があり、水くみ用のポリタンクなどを売っている。登山口の仮設小屋には平日の朝にも関わらず、番人がいて入山料を徴収している。平日に番人をおいても日当で赤字だろうにと思いつつ、100円を支払う。領収書には清掃協力金とある。こんな金を取って何になるのだろうか。ゴミの持ち帰りはヤマ屋には常識である。かえって協力金を払っているのでゴミを捨ててもいいという図式も成り立つ。
 登山口からすぐに、原生林の中へとはいる。男池周辺はアスファルトの散策路になっているが、黒岳への分岐からは土の上を歩く。このあたりは「21世紀に残したい自然」に指定されているようで、植物の種類が半端ではない。樹木やシダ類など多種多様で、小鳥のさえずりも初めて聞く声がある。
 放牧牛の脱走防止の柵を越えるとすぐに「カクシ水」という水場がある。黒岳周辺の水場はここと男池のわき水だけらしい。このカクシ水は涸れることもあるようなので、あてにするなら男池の方がいい。この日は十分にのどを潤すことができた。

【黒岳原生林】

森の中を気持ちよく歩く


【かくし水】

水量は少ないが、ちょっと飲むには十分。柄杓を使ってのどを潤す。


【ちょっとエッチな杉】

岩の上に腰かけているような形の杉


 徐々に登っていた登山道が下りに変わり、降りきったところは盆地状の広場である。ソババッケという。ここは大戸越への分岐になっていて、平治や大船へ行くには右手の分岐へ行けばよい。黒岳へは左である。ちなみに道標は高塚となっている。黒岳というピークはなく、目指すのは高塚(1587m)である。このことに勘違いしていたため後にとまどうこととなる。
 ソババッケからさらに黒岳を反時計回りに巻くように道が続く。再び大戸越への分岐である奥ゼリを通過し、風穴に着く。ここからが黒岳への本格的な登りとなる。ほとんど直登で、設置されたロープを頼りに登っていく。大群落ではないがミヤマキリシマの株がちらほらと見られ、ピンクの花も若干咲いている。

【黒岳山頂は高塚】

黒岳のピークはここだと思っていたら、左手の高塚が本当のピークであった。


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