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笊ヶ岳-日本二百名山 笊ヶ岳-日本二百名山 苦行の日帰りピストン 苦行の日帰りピストン 【笊ヶ岳山頂】
コース(タイム)老平駐車場(04:51)ー(06:48)山ノ神-(09:19)桧横手山-(11:12)布引山-(12:36)笊ヶ岳-(15:24)桧横手山-(17:18)広河原-(18:34)老平駐車場
《山概略》
《笊ヶ岳へ》 駐車場には大きなざる岳登山案内図がある。山頂までのルートが示されているが、登山道は一本道で分岐はない。川沿いに登り、尾根を登るというシンプルなものだ。山頂までの所要時間がポイントごとに記載されているが、それを合計すると11時間30分となる。これは見なかったことにしよう。予定としては8時間である。 駐車場を出発し、舗装道を歩いて行くと程なくゲートが見えてくる。登山ポストがあり、ヒサマツミドリシジミという町の天然記念物の蝶の採取禁止の看板がある。ゲートを越えてしばらく舗装道は続き、ダートに変わっても林道は続く。左手は奥沢で右側は山の壁である。10分ほど歩くと、白く不気味な小さいトンネルをくぐる。そして橋を渡った先に道は二俣に分かれる。今回のコースで唯一の分岐だ。そこを登りになっている右に進む。その先がようやく登山口となる。林道から左手の細い道へと入っていく。
山肌のトラバース道が続き、不意に石垣が現れたとおもったら、その上の方には廃屋がある。トラバース道は続き、工事用の足場でできた橋を進む。秘境の山道ではあるが、案外山道は整備されているようだ。続いてタケ沢の吊り橋を渡る。仮設の橋は何度かあるが、中には壊れているものもあり、谷側に降りてハシゴで登り返す所もあった。 山側が張り出したような所を通過するが、上からはポタポタと水滴が落ちてくる。手に持っているカメラが濡れないように気をつける。キヤノンのカメラは防滴仕様でもこのような水滴で壊れるので(しかも無償保証対象外)、気を遣う。
トラバース道が途切れ、ザレ場の土砂崩れ地帯を通過する。ここには細い虎ロープが張られていて、それを伝っていけばいいのだが、何とも心許ないロープである。歩くたびに下の方へ落石を発生させ、幅20mほどの危険地帯を通過する。 道は徐々に沢の方へと降りていく。降りていくというか、こちらが平地なので沢の方が登ってくる感じだ。河原に出たところが渡渉のある広河原だ。広河原と言うからもっと広いかと想像していたが、川幅や河原は広くなく、数メートル程度だ。岩がそこら中にあるので渡る場所を選べば濡れずに済みそうだ。少し上流の方に行くと岩伝いに渡ることができた。ここの沢は今回の登山コースの最終水場ともなっている。
広河原の渡渉を終えると尾根に取り付き、ようやく本格的な登りが始まる。とういか、いきなりの急登である。広河原の標高は900m程度なので、山頂までの標高差はまだ相当ある。とにかく登って標高を稼がなければならない。つづらの登りを黙々と登った。 広河原から標高差で300mほど登ったところで山の神に到着する。石碑や祠があり、これと言った説明はない。とりあえずここで小休止するが、まだ半分も来ていないので、早々に切り上げて登りを再開する。 登山ルートは明瞭のようでそうでもない。作業道もあるようで、気を抜いていると関係ない道に入り込んでしまう。尾根を登っているつもりがいつの間にか山肌を歩いていて、おかしいと思ったら道を逸れていた。時間的なロスはたいしたことなかったが、このあと道を間違わないように注意することになる。ところどころに赤テープがあるので、それを見失わないように進めば良い。 眺望のない単調な登りが続き、なかなか標高を稼げない気がする。ふと見上げると大木がワイヤーでぐるぐる巻きに縛られている。かなり食い込んでいるので古いものだろうが、こんな秘境の山奥で何らかの作業が行われていたことに驚く。このあたりにはうち捨てられたワイヤーの束もあった。
歩き始めから6時間でようやく稜線にたどり着いたようだ。赤石山脈の山々が見えてくる。稜線を歩いて行くと、左手はザレ場の急斜面で、今回のコースにおける難所の一つであり、慎重に進む。樹林が切れているので眺めは良いのだが、少し雲が出てきているようだ。山頂に着くまではガスに覆われないでほしいものだ。ザレ場の先にはちょっとした岩場があり、これを越えたら山頂かと思ったら、岩場の先はまた樹林帯だった。その樹林帯の狭い道を進んでいくと、ようやく布引山頂(2583.7m)である。特殊東海製紙の社有地と書かれた山頂の標柱がある。株主優待(大量のトイレットペーパー)でおなじみの会社である。
布引山頂には三等三角点がある。しかし、狭く樹林に囲まれ眺望もないので、そのまま通り過ぎる。山頂を通り過ぎると、当然下り坂となるが、その分登り返さなければならないので、早くこの下りが終わってくれと願いながら下っていく。170mほど下って笊ヶ岳までは210mほど登ることになる。鞍部のあたりからは笊ヶ岳のピークが見える。意外なことに笊ヶ岳は双耳峰だった。若い二人組とすれ違い、彼らは結構バテていたようだ。僕と同じコースで1時間以上早く出発していたようだ。その前にも一人すれ違っていたが、いずれも下山後ヤマレコに投稿があり、あらためてコンタクトすることができた。
鞍部を通り過ぎ、最後の登りを頑張って進み、シャクナゲやハイマツをかき分けて進むと、大展望の笊ヶ岳山頂(2629m)に到着する。こちらの山頂も広くはない。山頂の標柱は二本ある。一つは山梨県の山梨百名山の標柱で、もう一つは静岡県のもので、後者の方が太く立派な標柱だ。笊ヶ岳の文字は静岡県側を向いているため、山頂の位置からは裏側に書かれている感じである。 山頂からの眺望であるが、山梨県側は小笊というのだろうか、もう一つの山頂が目の前に見え、その向こうには半ば雲をまとった富士山が見えている。静岡県側は南ア南部の素晴らしい展望が広がる。塩見岳から赤石岳、聖岳、上河内岳、光岳と続く稜線がはっきりと見えている。ここまで苦労して登ってきた甲斐があったというものだ。一通り写真を撮り終え、あまり山頂でのんびりしている訳にはいかない。まだ同じルートを下って帰らなければならないのだ。日が落ちる前には登山口には降りておきたいところだ。 山頂から降りようとすると、藪に隠れた三角点を偶然見つけた。三角点のことはすっかり忘れていたが、二等三角点である。点の記は明治の1902年に測量されている。
【山頂からのパノラマ】 下山で辛いのは、布引山への登り返しである。しかしここが最後の登りで、これをクリアすれば、後は下りだけのお気楽行程が待っている。お気楽と言っても、長丁場であるのでひたすら時間をかけて進むしかない。布引山頂の先のザレの崖っぷちを再び通過しようとすると、山側の樹林の中を通る道があることに気づき、楽に通過することができた。
下山はカメラをザックに入れて、写真を撮ることはなかった。体力温存のため下りに専念するためでもある。長い下山中、登ってくる人はいなかった。泊まりで登りに来る人はいないと言うことだ。日帰りにしてもよほど健脚でないと登れない山である。この日は5人ほどが入山したことになる。 ようやく広河原まで降りると一安心である。沢では疲れた足を癒すためにも登山靴を脱いで徒渉した。わずか数メートルだが沢は冷たくて気持ちが良かった。続いてほぼ平坦なトラバース道や林道を歩くが、やけに長く感じた。ようやく老平の集落まで降りて、駐車場に到着したのはまだ明るさの残る18時半過ぎであった。歩き始めから14時間近い行動時間で、思ったより時間がかかったが、これでもコースタイムよりかなり早い。これまでの登山人生の中で最もバテバテの山行となった。 下山後は老平近くのヴィラ雨畑の温泉に入るつもりだったが、そこの駐車場が満車だったので入ることができなかった。仕方がないので、そのまま帰ることにして車を走らせた。 Camera:CANON EOS M3
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